タタラのメモ 3
タタラのメモ 3
「ウィシェ・ウォーマック、我が相手」
赤熱の満ちた、色の無い空間に、声だけがある。
「我が盗むまでの間のみ、だ」
「それまでは如何なる者にも寛容たろう。技巧の全ての最大化を図ろう」
「それからは如何なる者にも盗賊たろう。我に盗まれぬものはない」
「ウィシェ・ウォーマック、盗まれるまでの怠惰を極めたまえ。汝の『世界観』が然様であればな」
鈩の如き渦、概念の再構築が空間を熱していく。
『魔法』が体を取り巻いていく。
「我に奪えぬものはない」
「精霊の使う技巧」
「勝利の秘訣」
「王冠の在り処」
「そして…」
「…我に奪えぬものはない」
手を伸ばす。簒奪へ向けて。
女の愉快な高笑いだけがあった。