魔王、または虚
魔王、または虚
リボリオ・マグノ・ロバルディ──魔王の魔導書を読み解けた者はいない。
いかなる科学的、魔術的な解析にかけようと、その全容が浮き上がってくることはいまだにないのである。
随所に現れる■■■■■■■・■■■・■■■■■■こそが彼の正体とする学者は多いが、いずれも仮説にすぎない。
魔王に問うても、記憶を持たぬ彼は要領を得ない答えを返すばかりで一向に話が進まない。
すべてを失った王の本質は虚もしくは紙屑であるがゆえ、致し方のないことなのかもしれない。
しかしもしこの仮説が事実であるならば、彼は友を失い肉親に裏切られ、■■と契約してまで覇道を敷きかの厄災から空を守ろうとした古の王と同一ということになる。
古の王が知るところを我々が掌握できれば、我々が真に討ち滅ぼすべき敵の情報の一端を掴むことができるかもしれない。
雲を掴むような話だが、今後も調査を継続するべきだろう。
***
彼は、愛してやまない勇者との再会をずっと待っている。
魂を穢され因果の傀儡と成り果てた今でも、記憶の奥底で、大好きだった親友をずっとずっと待っている。
再会できた時、やってほしいことは決まってる。
小鳥と奏でる大好きな歌を一緒に歌って。光差す庭園であの日みたいに一緒に踊って。いつか夢見た平穏を一緒に願って。
その極光を秘めた聖剣で、空っぽになってしまったこの心臓を貫いて。
たくさん待ったけれど、これからもずっと待っているから。